株式会社セガ -【SEGA CORPORATION】

MAKING

ゲームができるまで

『新サクラ大戦』
開発者インタビュー

MEMBER PROFILE

ゲームディレクター 大坪 鉄弥

2002年入社。『サクラ大戦3~巴里は燃えているか~』、『サクラ大戦V~さらば愛しき人よ~』といったコンシューマタイトルでプランナーとして開発に携わり、「初音ミク –Project DIVA-」シリーズなどでディレクターを務める。今回の「新サクラ大戦」でもディレクターを担当。

アートディレクター 馬立 敬一

2017年入社。戦場のヴァルキュリア4のメカデザインを担当後に新サクラ大戦にアートディレクターとして携わる。

アドベンチャーパート リードプランナー 楠 香奈子

2008年入社。「PHANTASY STAR」シリーズ、「初音ミク –Project DIVA-」シリーズの開発にプランナーとして関わり、本作『新サクラ大戦』ではアドベンチャーパートのリードプランナーを担当。

テクニカルディレクター 古場 久雄

2001年入社。『サクラ大戦 〜熱き血潮に〜』、『ドラえもん のび太の恐竜2006 DS』といったコンシューマタイトルでプログラマとして開発に関わり、本作『新サクラ大戦』ではテクニカルディレクターを担当。

2019年12月12日に発売したPlayStation®4用ソフト『新サクラ大戦』は、架空の「太正時代」の帝都・東京を舞台に、悪と戦う「帝国華撃団」の活躍を描くドラマチック3Dアクションアドベンチャーです。メインキャラクターデザインの久保帯人氏をはじめ、多数の人気クリエイター陣を起用し、東京ゲームショウ2019では、日本ゲーム大賞フューチャー部門を受賞しその期待度の高さが話題に。14年ぶりの新作の開発に携わった4人に話を聞いた。

「サクラ大戦」タイトル復活のきっかけを教えてください。

大坪

本格的な企画の起ち上げは3年以上前になります。「サクラ大戦」シリーズ作が発売されていない間も、ファンの方々から続編を望む声が多く、私自身としても復活への思いがずっとありました。
前作の『サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~』が発売されてから10年以上が経ち、開発チーム内でも、「サクラ大戦の新作を作りたい」という気持ちは高まっていたのですが、企画を会社に承認してもらうための決定打に欠ける状態が続いていました。
そんな折に、2016年セガフェス総選挙の「作品部門」と「復活期待部門」で「サクラ大戦」が1位を獲得しました。
ファンの皆さんからの圧倒的な支持を目の当たりにし、社内でも「サクラ大戦」復活の機運が高まったことをうけて、『新サクラ大戦』が起ち上がりました。

前作で開発に関わった方が「新サクラ大戦」にも参加しているのですか?

大坪

そうですね。前作から期間が空いたことでシリーズ開発経験者の人数自体は減りましたが、私も含め旧作に携わった経験のあるスタッフが『新サクラ大戦』にも参加しています。古場さんもそうですよね。

古場

シリーズ1作目のリメイク作品であるPlayStation®2『サクラ大戦〜熱き血潮に〜』の開発に携わりました。また、新入社員で配属された年にちょうどドリームキャスト『サクラ大戦4〜恋せよ乙女〜』の開発が起ち上がり、初めて目にした開発現場だったので、私にとって非常に思い出深いシリーズです。

大坪

旧作を知るスタッフに、新たなメンバーが加わって、開発が進んでいきました。

「サクラ大戦」復活の企画が決まり、そのメンバーに入ることになったときの気持ちはどうでしたか?

馬立

私はその話を聞いたとき、まず運命かなと感じました。17年ぶりに今の部署に戻ってきたら、「サクラ大戦」復活のタイミングだったので、もうこれは運命で「作れ!」と言われているのだと思いました。

私は入社式後の歓迎会で、「サクラ大戦の制作チームに入りたいんです!」と話をしていたぐらい、いちファンとして大好きな作品だったんです。今回は10年越しに夢が実現したので、本当に嬉しかったです。

前作からのファンの方にとっては思い入れの多い作品ですが、開発に対する意気込みやこだわった点があればお聞かせください。

馬立

『新サクラ大戦』ということで、旧作の雰囲気も大事にしつつ、「新しいもの」をユーザーに届けることにこだわりました。
旧作と比べると、キャラクター、背景、メカも本格的に3Dで表現されています。
情景の表現は、ユーザーに納得してもらえるように一番気を遣いましたね。

大坪

ハードウェアのめざましい進歩によって、ゲーム自体の構造も変化させる必要がありましたので、まず「サクラ大戦って何だろう?」と、ベースの部分から見直していきました。その中で、キャラクターや太正浪漫の世界観をしっかり表現していくことを大事にしながら、『新サクラ大戦』としてのゲーム構造を組み立てていきました。

私の担当はアドベンチャーパートなので、「太正浪漫」の世界観作りにはこだわりました。昔からのユーザーさんには「3Dになるとこんな風になるんだ!」と感動していただけるように、そして新しいユーザーさんには、独特の世界観を味わってもらえるように作り込んでいます。

大坪

一貫して大切にしていたことは、キャラクターゲームであることです。「隊長ゲーム」として、神山誠十郎という主人公(隊長)が中心にいて、それを取り巻くヒロインたちという構図は変えていません。主人公の神山を中心に物語が回っていくということですね。

新作を作るにあたって苦労した点を教えてください。

古場

旧作はアニメを意識したゲームデザインでしたので、新作で全て3Dにするにあたり、どこまでアニメの表現に近づけるのか何度もプロトタイプを作成して検討を重ねました。製品では物理ベースレンダリングとセルシェーディングが良いバランスで両立できていると思います。

大坪

キャラクター原案は、旧作では全て藤島康介さんが手がけていました。昔は1人のクリエイターが手がけるのが当たり前でしたが、今はさまざまなクリエイターに1つの作品のキャラクターたちをデザインしてもらうということが受け入れられています。今作では、クリエイターごとに違うテイストを取り入れたいと思い、さまざまなクリエイターにキャラクターデザインを依頼しています。

馬立

ただ、クリエイターごとに作風があるので、基準となるレギュレーションモデルを決めても、いざ一つのデザインとして並べてみると、キャラクターごとの違いが出てしまいます。クリエイターの個性を殺さないように調整をしつつ、今の形になるまでには苦労しました。
「サクラ大戦」は歴史があるので、こうあるべきという先入観があって、新しい挑戦に踏み込んでいいのかどうか気持ちの葛藤がありました。しかし、「デザインで新しい表現に挑戦していく」ことをプロジェクト全体の方針として掲げていましたので、仕様書の設定どおりではなく、ミーティングを重ねてみんなから意見を出してもらい、その意見を反映するようにしました。完成してからの振り返りでも、「活発な意見交換の場が多くあった」ことが良かったという声が多かったので、やって良かったなと思っています。

今回のプロジェクトの規模や、期間を教えてください。

大坪

期間は企画起ち上げから開発終了まで3年ほどです。初めはそんなに長くなるとは思っていなかったのですが、結果として私がセガに入社してから一番制作期間が長い作品になりました。また、開発にあたっては社内外含め本当にたくさんの方々に協力していただきました。セガ社内だけでも50人くらいのメンバーで制作していましたが、外部の協力会社さんのラインも含めると、繁忙期では100人を超える規模になっていたと思います。

『新サクラ大戦』開発チームの特色などはありましたか?

古場

初めは小規模なチームから始まり、プロジェクトが進むにつれて徐々にメンバーが増えていきました。全く別のジャンルのゲームを作っていたメンバーも加わっているので、本当にいろいろな人が関わっていますね。
なので、一色ではなく、さまざまな色が入っているチームだと思います。

大坪

人材だけでなく技術面でも、部内の別のプロジェクトや、他部署のツールやノウハウも共有してもらっていました。

古場

効率的に開発するための環境の整備は大変でした。他の部署で便利なツールを作ったと聞いたら、こちらでも使わせてもらえるようにお願いをすることが度々ありました。全社的な協力体制のおかげでプロジェクト全体が成り立っていたと思います。

いろいろな人がいて、それぞれしっかりと自分の意見を持っている人が多いチームだと、私は感じました。小さなことでもこだわりが強い人が多く、頻繁に意見をぶつけあっていましたね。その中でいろいろなアイデアが生まれていると感じます。
立ち話から盛り上がって、席に戻れなくなるということも多々ありました。(笑)

新入社員の方や途中入社の方は『新サクラ大戦』チームにいましたか?

大坪

新入社員と中途入社で総勢10人ほど参加していました。新人のメンバーは、先輩担当者の指示のもとで仕事をしてもらっていました。
実は、『新サクラ大戦』のデジタルデラックス版用の『サクラ大戦 歴代美術集』というアプリケーションは、古場さん指導の下、新人プログラマ2人が制作を担当していました。アプリケーションとしては大きな規模ではなかったので、新人のプログラマーが指導を受けながらやるにはちょうど良かったと思います。

古場

そうですね。新人2人で作業環境の構築からマスターアップのパッケージ作成まで一通り担当してもらいました。新人のうちから開発の全工程を担当できる機会はなかなか無いことなので。入社早々経験できたことは本人たちにとっても良かったと思います。

大坪

仕様自体はシンプルなものでしたが、自発的に「こうしてみたらいいんじゃないか?」「ああしてみたらどうだろう?」といろいろ試行錯誤してくれて、こちらも助かりました。古場さんにとっても業務効率が上がり、お互いに良かったかと思います。

どんな方がセガに向いていると思われますか?

大坪

我々の部署はコンシューマーゲームを中心に作っていますが、セガ内を見渡すと実にいろいろなことをやっている会社なので、興味の幅が広い方は向いていると思います。

古場

そうですね。幅広いジャンルのゲームを作っている会社なので、選択肢が多いのは魅力です。また、新技術の情報もたくさん入ってきますので、新しいことに取り組める機会も多いと思います。

幅広く興味を持っているのもいいなと思いますが、一点集中の深い興味や、好きなものを持っている人も強いと思います。
「僕は○○が大好きです」「○○のことなら僕に任せてください」といった人。
私は、大坪さんと一緒に「初音ミク -Project DIVA-」シリーズにも携わっていましたが、私が「初音ミク」に詳しかったからということで声をかけてもらえました。一見ゲームと関係ないことでも、声をかけてもらえるチャンスがあります。「1つでも本当に大好きなものがある人」は向いていると思いますよ!

セガに入社を検討している方々にメッセージをお願いします。

上司からはいつも「楽しんで仕事をしなさい」と言われています。やりたいことができる環境があるのは、恵まれているなと日々実感しています。楽しく働きたいと思う人にぜひ来てもらいたいです。

古場

ゲームに限らず、技術系に興味がある方にもぜひ来ていただきたいです。社内向けの開発環境の整備や、ハウスツールの制作が好きな方も歓迎です。
今はゲームの仕事をしていたとしても、技術開発に特化した仕事を希望すれば、「では、次はゲームアプリプログラムではなく技術開発・サポートを担当してみますか?」など、柔軟に受け入れてもらえる土壌があります。仕事の選択肢がセガは広いと思います。

大坪

ゲーム開発は、どこの会社でもすべてが楽しいことばかりではないと思います。さまざまな苦労や努力があって、初めて成果が出るもの。だからこそ、1つの作品を作り上げたときは、大きな達成感を感じることができます。
セガは、チームメンバー同士で切磋琢磨して、新しいことへ挑戦することができる会社です。チャレンジ精神あふれる方とぜひ一緒に働きたいと思います。ご応募お待ちしております。