株式会社セガ -【SEGA Co., Ltd.】

EPISODE

ゲームができるまで

『JUDGE EYES:死神の遺言』
事業部長×プロデューサーインタビュー

MEMBER PROFILE

事業部長/龍が如くスタジオ プロデューサー 佐藤 大輔

1994年入社。アーケードゲームの制作を経てコンシューマゲームに携わる。「龍が如く」シリーズ1作目から関わり、2008年に発売した『龍が如く 見参!』からディレクターを務める。2012年に部長就任以降は龍が如くスタジオのプロデューサーを担当。

プロデューサー 細川 一毅

1995年入社。『パンツァードラグーン』『ジェットセットラジオ』などを制作後、「龍が如く」シリーズに関わる。『龍が如く 見参!』以降はデザインディレクター、『龍が如く OF THE END』以降はディレクターを担当。今回の『JUDGE EYES:死神の遺言』が初プロデュース作品。

2018年12月13日に発売したPlayStation4用ソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』。
木村拓哉さんを主演にキャスティングし、東京ゲームショウ2018で話題をさらったこの作品の細川一毅プロデューサーと佐藤大輔事業部長に話を聞いた。

企画のきっかけを教えてください。

細川

2012年に『龍が如く5 夢、叶えし者』をつくり終えたときに、やりたかったことが実現でき、新しい挑戦をしたいと思ったんです。それで「龍が如く」ではない新しいタイトルにチャレンジしたいと佐藤に相談。
それから3年後の2015年、『龍が如く0 誓いの場所』をリリースした後に佐藤から「新規タイトルを考えていいよ」と言われました。

佐藤

「龍が如く」シリーズがこんなに続くとは思わず、3作くらいつくれればいいかなと思っていたのが、10年以上続いています。これは大変ありがたいことなのですが、「龍が如く」ばかりでは不安もあります。
そこで新規タイトル制作のゴーサインを出しました。

細川

それからゲームのアイデアをいくつもつくって総合監督の名越と打ち合わせを繰り返し、『JUDGE EYES:死神の遺言』の原案や仕様概要を決めていったのが始まりです。

メンバーはどのように増やしていったのですか?

細川

新しいものにチャレンジするという部分で、スタッフ一人一人に次にどんなことがやりたいかをヒアリングしました。
本人がいちばん作りたいものを担当してもらったほうが良いものができるし、なにより本人が作りたいという気持ちを大事にすべきかと。

佐藤

新入社員もたくさん起用したよね。

細川

そうですね。新卒、中途かまわず声をかけて好みや適性を聞きました。

メンバー集めも含めて順調に進んだのでしょうか?

細川

プロジェクト序盤は非常に苦労しましたね。
『JUDGE EYES』の捉え方が人それぞれ違っていて。たとえば、デザイナーは新しいものをつくることにポジティブ。いろいろなことに挑戦できると言ったらすごく乗り気になる。でもプランナーやプログラマは慎重でなかなか前のめりには乗ってこない。
また、長年『龍が如く』をつくってきた“龍が如くスタジオ”で、新規IPを立ち上げることに対し、そんな必要があるのか、本当に面白いゲームができ上がるのかという懐疑的な意見もありました。私自身もまだ『JUDGE EYES』がどうなるかわかりませんでしたが、とにかく一緒にやってみようよみたいな感じでメンバーを説得していきましたね。

佐藤

会社には当然、販売目標があるじゃないですか。
まだ本当に面白いものができるかわからない、スタートしたばかりでゴールも完全にイメージできていない新しいタイトルに時間と労力を割いて突き進むのは、その目標を達成できるのかという不安や怖さがみんなの中にあったのだと思います。

今回、ゲーム制作をするうえで意識したことは?

細川

「龍が如く」シリーズも『JUDGE EYES:死神の遺言』もゲームをつくるうえで意識の違いはありません。
ユーザーが喜んでくれるかどうかをギリギリまで考えながら、妥協せずにいいものをつくるという、クリエイターとして極めてシンプルな考え方です。

佐藤

毎回時間との闘いだけど、ちゃんと仕上げてるよね。

細川

今回はさすがに無理、過去最大にヤバいと毎回言いながら間に合わせるところがうちのすごいところ(笑)。

佐藤

少しずつハードルが上がってきていると思うんですけど、少しずつなのでなんとなくみんな乗り越えちゃっている。
鍛えられているわけですね。

細川

毎日少しずつジャンプしていたら、すごい高さが飛べるようになったみたいな。

ということは、新入社員には大変ですかね?

佐藤

もちろん一生懸命やってもらいますけど、無理はさせませんから。成長に合わせて少しずつタスクを増やしていく。
いきなりとんでもない量を積んで、つぶしてしまうような仕事の振り方はしません。

細川

それと、数年前から取り組んでいるのが、様々なプロジェクトへの留学。
もちろん、その時々の状況もあるので大々的というわけにはいきませんが、ナンバリングタイトルばかりをつくるのではなく、いろいろなゲームづくりを体験してもらいたいので、他のセクションのプロジェクトを1年間勉強させたりしています。

それは、本人にとっても会社にとってもプラスですね。

細川

さらにプロジェクトとは別に課外活動的な勉強会を本格化させていきたいと思っています。
「龍が如く」をつくる能力だけではなくて、クリエイターとしての経験値となり、成長につながるものをきちんとサポートしていきたいと思っています。

東京ゲームショウ2018での手応えはいかがでしたか?

細川

東京ゲームショウの直前、9月10日に開催された「PlayStation LineUp Tour」で木村拓哉さん主演の新作タイトルとしてサプライズ発表を行い、翌日から先行体験版配信開始という、ずっとあたためていたスタートダッシュプランを実現できました。その流れからの東京ゲームショウでしたから反応は大きく、新作タイトルが出ることを短期間で知ってもらえた手応えはありましたね。

佐藤

木村拓哉さんを起用した話題性もあり、たくさんの方がブースに来てくれました。
「龍が如く」シリーズ作品を出展するときよりも多かったかな?

細川

そうですね。「龍が如く」シリーズ作品を出展するときも毎回大入りなので、正確にはわかりませんが、来場者は多かったです。

佐藤

ブースで配っていたショッパーは瞬殺でなくなったよね。

細川

ゲームショウに来られる方ってゲームへの感度が高いので、ゲームファンの注目も高かったことが実感できました。
また、全国で体験会やサイン会をすると、「龍が如く」と『JUDGE EYES:死神の遺言』のファンが半々くらいの割合でいらっしゃっています。『JUDGE EYES:死神の遺言』によって、これまで私たちのゲームをやっていなかった層を増やしたと思うので、裾野を広げたいというコンセプトの狙い通りと言えるでしょう。

初めてプロデュースした感想は?

細川

プロデューサーがやるべきことと、人に任せていいことの判断がつかない状態で始めたのでいろいろ大変でした。
とくに予算管理や宣伝、販売などは未知の世界でしたので、すべて手探り状態。社内の関連部署とも相談しながら、一つひとつ学びながらプロジェクトをこなしたという感じです。

佐藤

プロデューサー業務の正解ってないと思うんです。人それぞれのやり方があって、人に教えられるものでもありません。
私も「龍が如く」シリーズをはじめ、多くの作品にプロデューサーとして関わってきていますが、いまだに正解がわかっていないというのが本音です。

細川

むずかしいですよね。面白かったですけど。
20年以上ゲーム開発に携わっているのに、知らないことがたくさんあって勉強できる。ゲームづくりの楽しさを再確認できました。

佐藤

初めてにしてはよくやれていたと思うよ。

細川

“龍が如くスタジオ”として、中長期のスパンで今後を考えると、その柱が「龍が如く」シリーズだけという状態をなんとか打破したいという思いがあり、そのためにもつくりたかった新しいタイトルでした。
そのため、いままでとは違うことにチャレンジしたかったんです。それで今回プロデューサーを初めて経験して感じたのが、プロデューサーの熱意がゲームを完成に導く。何がなんでもこれをつくらなければいけないと強く思う人がプロデューサーとして立たないと前に進まないというのがすごく納得できました。
それと「龍が如く」シリーズを長い間やっていて、“龍が如くスタジオ”でつくる『JUDGE EYES:死神の遺言』だからこそプロデュースできたというのもあります。「龍が如く」シリーズ同様、ドラマ性をもたせたストーリーを中心に見せていくタイトルなので、シーンをいかに魅力的なものにするかという部分がやっぱりプロデュースサイドから見てもすごく重要なところでした。
『JUDGE EYES:死神の遺言』をどう訴求していくかという意味では、私自身デザイナーやディレクターの経験があったからプロデュースできました。これが例えば全然違う種類のゲームだったら難しいでしょう。次回作も期待していただきたいですね。

佐藤・細川

『JUDGE EYES:死神の遺言』は、現在好評販売中。これからも次々と新作ゲームをリリースしていくセガは、一緒にゲームをつくり、感動を分かち合う仲間を求めています。